学校へ、企業へ、
ショッピングモールへ
地域に出向いて得られた気づき

中部ろうさい病院
感染管理室
感染管理認定看護師
福原 順子
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高齢者が加速度的に増えれば、求められる医療は変わってきます。
名古屋市の65歳以上の人口は、2025年には60万人を超えると予想されています。
同市の南に位置する中部ろうさい病院では、今後の高齢者増加をみすえ、地域住民の医療や介護のニーズに応えるための地域連携に力を注いできました。
その体制づくりの骨子と、これまでの活動から得られた気づきを紹介します。

一般的な知識だけでなく、
その施設で実践可能な感染対策を

当院の看護部には、14分野20名の認定看護師が勤務しています。
その専門性をいかし、院外施設からの講師依頼や相談案件に積極的に対応しています。
相談をいただいてから、実施、報告に至るまでの一連の手続き(システムフロー)も整えています。

訪問看護ステーションや介護老人保健施設などからの依頼が中心ですが、近年は活動領域を広げ、学校や保健センター、企業からの相談も受けています。

地域の感染対策は、それぞれの現場の状況を把握し、 その施設のニーズに合わせて対応することが重要です。一般的な感染予防の手順を説明しても、そのとおりには行動してもらえないことがあるためです。
施設におもむいて学習会を実施する際も、一般的な感染の知識だけでなく、その施設で実践可能な対策を紹介することに気をつけています。そのために事前に現場を確認し、現場の状況を反映した資料を作るようにしています。

学校で実際に使用している箇所の
写真を使った資料

中部ろうさい病院の
地域に根ざした感染対策活動

対象 実施内容 工夫しているポイント
病院利用者
  • ・インフルエンザ予防の
    ポスター掲示
  • ・手洗い体験
  • ・11月の医療安全週間に
    毎年行う。
  • ・ブラックライトと蛍光塗料使い、
    洗い残しを可視化する。

医療安全週間イベント
手洗い体験

地域の
保健環境委員(60歳以上の
市民が中心)
  • ・避難所での感染対策の
    レクチャー
  • ・ノロウイルス流行時の
    嘔吐物処理のレクチャー
  • ・災害時に集められそうな
    身近なものを使う。
  • ・模擬の嘔吐物を用意し、
    ふき取る実技を取り入れる。

港保健センター
嘔吐物処理風景

一般市民
  • ・家庭での
    感染症予防講座
  • ・近隣の
    大型ショッピングモールと
    タイアップする。
  • ・季節に合う話題を提供する。

感染症予防ミニ講座の風景

訪問看護
ステーション、
介護保健施設、
学校など
  • ・相談対応
    (超耐性菌や疥癬(かいせん)の対応、防護服を交換するタイミングなど)
  • ・学習会
    (感染性胃腸炎やインフルエンザの対策、特別支援学校の教員向けの感染症予防対策など)
  • ・依頼内容に適した
    認定看護師をセレクトする。
  • ・現場の状況を確認し、
    ニーズに合わせて
    実施可能な情報を提供する。

介護保健施設職員研修の風景

対象
病院利用者
実施内容
  • ・インフルエンザ予防のポスター掲示
  • ・手洗い体験
工夫しているポイント
  • ・11月の医療安全週間に 毎年行う。
  • ・ブラックライトと蛍光塗料使い、洗い残しを可視化する。

医療安全週間イベント手洗い体験

対象
地域の保健環境委員(60歳以上の市民が中心)
実施内容
  • ・避難所での感染対策の レクチャー
  • ・ノロウイルス流行時の嘔吐物処理のレクチャー
工夫しているポイント
  • ・災害時に集められそうな身近なものを使う。
  • ・模擬の嘔吐物を用意し、ふき取る実技を取り入れる。

港保健センター嘔吐物処理風景

対象
一般市民
実施内容
  • ・家庭での感染症予防講座
工夫しているポイント
  • ・近隣の大型ショッピングモールとタイアップする。
  • ・季節に合う話題を提供する。

感染症予防ミニ講座の風景

対象
訪問看護ステーション、介護保健施設、学校など
実施内容
  • ・相談対応
    (超耐性菌や疥癬(かいせん)の対応、防護服を交換するタイミングなど)
  • ・学習会
    (感染性胃腸炎やインフルエンザの対策、特別支援学校の教員向けの感染症予防対策など)
工夫しているポイント
  • ・依頼内容に適した認定看護師をセレクトする。
  • ・現場の状況を確認し、ニーズに合わせて実施可能な情報を提供する。

介護保健施設職員研修の風景

年間60件のセミナー、
他施設との情報交換
地域とつながるさまざまなしくみ

名古屋南部地域の地域連携の特色は、感染管理に関する医療機関の連携、情報共有、リアルタイムの相互相談体制が強固なことです。

当院では「地域医療連携室」が窓口となって、地域のかかりつけ医との連携をはかり、患者さんの紹介、診療や検査の予約を円滑に行っています。
ほかにも、医師をはじめとする医療従事者向けのセミナーや研修会を、年間60件以上実施。院外から延べ約2000人が参加するなど、顔の見える関係を築いています。

また、抗菌薬支援チームを立ち上げ、院外との感染管理の充実を図っています。
さらには、名古屋南部地域の感染対策にかかわるメディカルスタッフが情報交換できる場として、年1~2回の定例会を開催し、抗菌薬の使用量や耐性菌の調査、持ち回り式のラウンド、メーリングリストを活用した情報交換などを続けています。

他施設の感染対策状況を知ることは大切です。
当院では、訪問看護師や救急救命士などの実習生を受け入れているのですが、その研修も、地域とつながる情報交換の場ととらえています。実習生に当院の感染対策の状況を具体的に伝えるのはもちろん、実習生の職場の状況も積極的に聞いて情報収集をしています。

地域との交流が深まるにつれ見えてきた課題も

こうした取り組みの甲斐あって、おかげさまで院外から多くの相談をいただくようになりました。
一方で、相談が来るまで待つ受け身の姿勢でよいのだろうか、病院が主体となって、地域に向けた情報発信をしていくことも必要なのではないか、という課題も見えてきました。

今後は、感染を 「しない」「させない」「ひろげない」というスローガンを、より多くの地域のみなさんにひろめていくために、何ができるのかを考えていきたいと思います。

※中部ろうさい病院ってどんな病院?

  • ・労働者のための医療が整う名古屋市南部の中核病院、二次救急医療機関。
  • ・28診療科を有し、一般病棟は496床、ICU(集中治療室)とCCU(冠疾患集中治療室)は10床、リハビリテーション病棟は50床。
  • ・医療ソーシャルワーカーや退院調整看護師が担当する「入退院支援センター」があり、地域との医療連携に力を入れている。
  • ・東海地方の脊椎、脊髄損傷のセンター的役割も担っている。

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