感染症×からだのなぜ

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発熱、おう吐、下痢、発しんなど、感染症で出る症状はさまざま。
まだ小さいお子さまにとっては、初めて経験する症状も多く、
「熱はないけど、おう吐がひどい」「熱がなかなか引かない」「咳が止まらなくて苦しそう」など、
ご家族が、不安になるケースも。
「なぜ、こんなつらい症状がでるのか」「どういうことに注意が必要なのか」を知り、
症状に注意しながら、安静に過ごしましょう。
お子さまに「なぜ、こんなにしんどいの?」と聞かれた時にもきちんと答えられるよう、準備しておきましょう。

この症状大丈夫?病院に相談した方がいい?症状が出る原因は?つらい症状を家族に広げないように、しっかりと感染対策も。

症状が出る原因や注意することを、金沢医科大学 臨床感染症学 教授の飯沼先生にお聞きしました。

監修:飯沼 由嗣 先生

監修:飯沼 由嗣 先生
金沢医科大学 臨床感染症学 教授。
2024年に開催予定の第39回日本環境感染学会総会・学術集会の会長に就任。
石川県院内感染対策支援ネットワーク会議委員長を務め、県内医療機関の院内感染対策支援を行っている。
新型コロナウイルス対策として、いしかわクラスター対策班の統括コーディネーターを担当し、県内医療関連・介護施設のクラスター対策支援も行っている。(2023年10月現在)

そもそも風邪の原因って何?なぜ毎回症状が変わるの?

  • # 発熱
  • # せき・のどの痛み
  • # 鼻水
  • # 頭痛や関節痛

風邪の正式な病名は「上気道感染症」や「かぜ症候群」といい、
主に鼻から咽頭までの空気の通り道に起こる急性炎症のことをいいます。
風邪の8〜9割はウイルスが原因であり、200種類以上の原因ウイルスが存在します。
感染したウイルスの種類によっても症状は変わってくるのです。

風邪をひくと、鼻がつまったり、咳がでたりするのはなぜ?

鼻(くしゃみ・鼻水)、のど(のどの痛み)、呼吸器症状(咳・たん)が典型的な3大症状です。
風邪のウイルスは鼻や口から侵入し感染することが多く、体の部位でいうとまず「のどから上」の部位で炎症が起こります。鼻水やのどの症状が起こり熱が出ることもあります。その後、気道までウイルスが広がると、咳やたんが出るようになり、それから2、3日もするとよくなっていきます。1週間ほどでよくなることが多いようです。
発熱のほかに寒気、頭痛、筋肉痛といった全身症状が出ることもあります。

風邪をひくと、熱や関節痛…全身がしんどくなるのはなぜ?

病原体が侵入すると、体内では異物を排除するために炎症成分「サイトカイン」という物質が分泌されます。この物質が過剰につくられ血流にのって脳の血管に作用すると、「プロスタグランジン」という物質が分泌され、発熱や頭痛、関節痛などの症状が起こります。免疫細胞が頑張ってウイルスと戦っている証拠です。

風邪の原因となる主なウイルスと症状

風邪の症状は、感染するウイルスの種類により異なります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

ライノウイルス
鼻風邪が中心。鼻づまり、鼻水、くしゃみ、喉の痛み。その後、咳へと移行
※「ライノ」はギリシャ語で「鼻」。大人の風邪で最も頻度の多いウイルス
コロナウイルス
(新型コロナウイルス
を除く)
鼻やのどの症状
※主に冬に流行する
RSウイルス
>詳細はこちら
発熱、鼻水、ひどい咳
※新生児、乳幼児は感染すると肺炎や細気管支炎を引き起こす場合があるので要注意
アデノウイルス
>詳細はこちら
鼻水・鼻づまり、咳、目の充血(流行性角結膜炎)、咽頭炎、気管支炎、扁桃炎、嘔吐、下痢・腹痛(胃腸炎)、発熱
※冬から夏にかけて多く比較的重い症状が特徴、プール熱の原因

インフルエンザは別名「流行性感冒」といい、風邪とは区別されます。

インフルエンザ
ウイルス>詳細はこちら
突然の高熱、鼻水・鼻づまり、咳、悪寒、関節痛、頭痛、倦怠感
※全身の症状が強い場合には、風邪ではなくインフルエンザの可能性が。高齢者のインフルエンザは肺炎の合併に注意が必要

風邪とひとことでいっても、症状はさまざま。必ずしも毎回同じ症状が出るとは限らず、ウイルスの種類やそのときの体力、体調によっても変わります。咳がひどくなる、熱が下がらないといった症状が続くようであれば合併症を併発している可能性も。
家庭内での感染を広げないためにも、いつもと違う症状があらわれたときや、症状がつらいときは「いつもの風邪」と思わず、病院で診察を受けるようにしましょう。

なぜ熱が出るの?:体温と免疫

  • # 発熱

病原体の侵入を察知すると、体は免疫機能の働きにより体温を上げて病原体の増殖を抑えようとします
ウイルスは高熱に弱いため、体温を上げてウイルスを排除しようという作戦です。
「発熱」は体の防御反応がきちんと働いているサインなのです。

高熱が出るのはなぜ? 体温があがる仕組み

体温は脳の視床下部の「体温中枢」というところで調節されています。病原体に感染すると、プロスタグランジンの作用で体温中枢のセットポイント(脳が設定する体温)が上昇し体温が上がります。風邪のひき始めにゾクゾクとしたさむけ(悪寒)がするのは、体温を上げようとするために起こる体の反応です。
風邪をひいたときに38℃以上の高熱が出ることもあります。その違いは体の免疫反応の一つである炎症物質「サイトカイン」の量によると言われています。

「体を冷やすと風邪をひく」と言われるのはなぜ?

体を冷やすと体のエネルギーが体温維持に使われてしまいます。体本来の免疫システムを良好に保つには冷やさないことが大切です。外気温が冷たく乾燥する冬は、鼻や喉の粘膜が乾燥してウイルスが侵入しやくなります。乾燥しやすい季節は、口や鼻をマスクで守るとよいでしょう。

早く治すためには解熱剤を飲まないほうがいいの?

症状がつらく不快なときには、飲んでも問題ありません。解熱剤で風邪の治りが遅くなるということもないので、楽に過ごすように心がけましょう。風邪を治すには、安静にして十分な栄養と休息をとることが近道です。飲酒は控えてください。

インフルエンザで高熱の場合は、治療薬があります。気になる症状があらわれたときは、医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。
熱が出てたくさん汗をかいたときに使用したタオルやパジャマなどのリネン類は、こまめに洗濯をするようにしましょう。

身の回りの清掃・消毒 からだの消毒

おう吐と下痢・腹痛が同時に来るのはなぜ?

  • # おう吐
  • #下痢・腹痛

おう吐や下痢の症状が出る「ウイルス性腸炎」や「細菌性腸炎」。
ノロウイルスやロタウイルスが原因のウイルス性腸炎や、
サルモネラ菌やカンピロバクター属菌が原因の細菌性腸炎などがあります。
胃には「胃酸」という強力な酸があり、病原体を腸へと運ばないようにブロックしています。
しかし中には胃酸に強い病原体がいて、それらが腸管に侵入、増殖して腸炎を引き起こします
ノロウイルスやロタウイルスが原因の下痢は小腸型といわれ、水っぽい下痢におう吐、軽い腹痛を伴うことが特徴です。
ノロウイルスは口から体内に入ったあと小腸で増殖します。
おう吐は胃の反応ではなく、腸が病原菌を排除しようとして起きている症状です。
一方、血便や強い腹痛があれば、細菌感染が原因の細菌性腸炎の可能性があります。
38℃以上の高熱や血便が出ている場合には、医療機関を受診しましょう

おう吐と下痢の症状が同時に出ている場合は危険?!

ウイルス性腸炎に効く薬はなく免疫がはたらき、ウイルスが排出され症状が治まるのを待ちます。
おう吐がおさまってきたら、脱水状態にならないように経口補水液や水で水分補給をしましょう。通常は1〜3日で楽になります。おう吐や下痢が続いているときには、感染を広げないように通勤や通学、外出を控えましょう。
吐き気がひどく飲んだり食べたりできない場合には受診を。脱水症状を防ぐ目的で点滴などが行われる場合があります。

下痢止めは飲まないほうがいいの?

おう吐や下痢は、体に侵入した病原体を排除しようとする体の防御反応です。特に下痢止めは、病原体の排出が止まって、症状を悪化させるおそれもあります。症状をおさえる薬は医師の指示にしたがって飲むようにしましょう。

おう吐と下痢が周囲に感染する?!

ウイルスは、生物の体の中でしか生きられないため、子孫を増やすためには感染を広げていく必要があります。ノロウイルス感染症の場合、おう吐物や下痢便にはウイルスが大量に含まれ、わずかな量で家庭内に広がる可能性があります。トイレやオムツ替えの時は注意しましょう。

感染を広げないために、本人も家族も、トイレや調理の前後での手洗いをしっかり行い、おう吐や下痢便の処理は手袋をするなどの感染対策を徹底しましょう。

鼻水が出て苦しい…! なぜ風邪で鼻がつまるの?

  • # 鼻水
  • #下痢・腹痛

風邪のひきはじめに、くしゃみが出て、次に水っぽい鼻水、しばらくして粘り気のある鼻水や鼻づまりが起こる鼻の症状。風邪のウイルスが鼻に侵入してくると、感染を察知して、ウイルスを排除するために体の免疫機能が働きます。
具体的にはサイトカインという物質が分泌され、その働きにより放出されるヒスタミンなどの炎症物質の刺激によって、
くしゃみや鼻水が起こるのです。
くしゃみや鼻水には病原体の侵入を防ぎ、また外に排出するという重要な役割があります
鼻づまりは、鼻粘膜の下にある毛細血管が炎症によって腫れ、鼻の空気の通り道が狭くなることで起こります。
これ以上鼻の中にウイルスが入ってこないように鼻腔をふさぐという、これも体の防御反応の一つです。

鼻水をすするのは、なぜNG?

耳、のど、鼻はつながっており、頻繁に鼻をすするのは良くありません。鼻水に含まれる細菌やウイルスが、耳やのどにも侵入しやすくなるほか、鼻すすりをすることで鼓膜に陰圧がかかり中耳炎などの病気につながることもあります。
鼻水はすすらずに、きちんとかんで外に出しましょう。

鼻水は風邪薬で止めずに、出しきった方がいい?

通常の風邪なら安静にしていれば1週間程度でよくなりますが、鼻の症状がつらく不快な思いをしているなら、風邪薬を飲んでも全く問題ありません。そのほうが楽に過ごせるなら積極的に使用しましょう。風邪の鼻症状には、風邪薬や急性鼻炎と表示のあるものを選ぶとよいでしょう。症状がひどい場合は医療機関で受診しましょう。

鼻水や鼻づまりがいつまでも良くならない場合には、副鼻腔炎を起こしている可能性があります。耳鼻科で診察を受けるようにしましょう。鼻がつまっていると口呼吸になりやすく、のどが乾燥することで風邪をひきやすくなり、また風邪の治りも遅くなります。のどを守る保湿・保温のためにマスクをつけるのも有効です。飛沫感染の予防にもなります。

ウイルスや細菌感染にはさまざまな種類があり、症状の出方や必要な治療も異なります。
小さなお子さまは特に、症状を説明することが難しく、我慢することもあるかもしれません。
気になることや、症状に不安があるときにはかかりつけ医に相談を。
体調が優れないときには病原体を広げないことや、周囲の人が感染しないよう対処することも大切です。
日々の感染対策をしっかり行いましょう。

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