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- 消毒薬ごとの注意点
消毒薬ごとの性質と取り扱いの注意点を解説します。
次亜塩素酸ナトリウム
- 主な
使用範囲
- 注意点
-
- 金属の腐食作用があるので、金属製の器具には使えません。
- 他剤との混合・併用により有毒な塩素ガスを発生させることがあります。
特に、酸性の洗浄・漂白剤、アルコール製剤、シアヌール酸系の製品などの混合・併用は避けましょう。 - 創傷部位には使えません。
- 血液や有機物があると分解して殺菌力が落ちるため、これらが大量に付着したものには使えません。見える汚れがある場合は、まず流水と石けんで洗浄しましょう。
- 漂白・脱色作用があるので、色柄のリネン類への使用は避けましょう。
エタノール、イソプロパノール
- 注意点
-
- 揮発しやすい性質があります。
消毒には至適濃度があるので、揮発による濃度低下に気をつけましょう。 - 広範囲または長時間使用する場合は、充分な換気を行い、蒸気の吸入を控えるように注意しましょう。
粘膜への刺激や頭痛などを引き起こすことがあります。 - 引火性、揮発性があるので、火気に十分に注意しましょう。
- 創傷部位や粘膜には使えません。
ただし、一部の製品では、脱脂綿やガーゼ等に浸して患部に塗るという用法・用量で使用されることがあります。
- 揮発しやすい性質があります。
ポビドンヨード(ヨードホール)
- 主な
使用範囲
- 注意点
-
- 長時間の接触を避けましょう。
接触性皮膚炎や皮膚変色があらわれることがあります。 - 器具の消毒や、環境の消毒には使えません。
金属を腐食したり、褐色に着色したりします。
- 長時間の接触を避けましょう。
クロルヘキシジングルコン酸塩、ベンザルコニウム塩化物、
ベンゼトニウム塩化物、
アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩
- 主な
使用範囲
- 注意点
-
- 手指消毒薬に含まれることがあります。皮膚に用いる場合は、濃度が濃すぎないように、注意が必要です。製品の説明書をよく読んで使用しましょう。
- クロルヘキシジングルコン酸塩は、粘膜には使用しません。
接触性皮膚炎やアナフィラキシーショックの副作用が知られています。
ただし、一部の製品では薄めて使用するという用法・用量などで使用されることがあります。 - 綿球やガーゼなどに吸着しやすく、濃度が低下するので気をつけましょう。
- 有機物やせっけん類により、殺菌力が落ちるので、これらが付着しているときは、まず十分に洗い落としてから使用しましょう。
消毒薬効果を下げないためのポイントを紹介します。
- 1使用濃度
- 「揮発」「希釈」「有機物混入」「経時的な化学変化」などは、消毒薬の濃度を低下させる原因となります。使用時の有効濃度が確保されるように管理してください。
- 2作用温度
- 冬場は20℃を下回らないように注意してください。消毒薬の作用温度は20~25℃です。
消毒薬は一般に、温度が高くなるほど殺菌力が強くなります。
20℃未満での使用は、消毒速度の低下により消毒時間が延長し、期待する効果が得られない場合があります。温度が高すぎる場合も要注意です。
- 3消毒時間
- 対象物と消毒薬を接触させる時間は、余裕を持って設定してください。速効性があるとされる消毒用エタノールや70%イソプロパノールでも10~15秒間の接触時間を要します。添付文書などに消毒時間の記載がない場合、浸漬消毒であれば30分間を目安にしてください。
さらに、以下の2つも消毒効果に影響します。
対策として「消毒前に予備洗浄する」ことがポイントです。
- 微生物の数
- 消毒前の微生物が少ないほど、短時間でゼロに近づけることができます。
- 血液などの
有機物 - 予備洗浄により付着している有機物をある程度除去することで、消毒効果への妨害作用を防ぐことができます。
※特に夏場の管理に注意しましょう。
保存温度が高すぎることで効果が弱くなる消毒薬
消毒薬 | 温度の影響 |
---|---|
次亜塩素酸ナトリウムなど | 高すぎると、成分の分解により安定性が低下する。 |
アルコール類 (エタノール、イソプロパノールなど) |
高すぎると、揮発により濃度が低下する。 |
消毒薬:次亜塩素酸ナトリウムなど
- 温度の影響
- 高すぎると、成分の分解により安定性が低下する。
消毒薬: アルコール類(エタノール、イソプロパノールなど)
- 温度の影響
- 高すぎると、揮発により濃度が低下する。
pHの影響を受けやすい消毒薬
消毒薬 | 効果を発揮するpH | pHに関する特徴 |
---|---|---|
クロルヘキシジングルコン酸塩 | 酸性 | アルカリ性になると沈殿が生じ、 消毒効果が減弱。 |
消毒薬: クロルヘキシジングルコン酸塩
- 効果を発揮するpH
- 酸性
- pHに関連する特徴
- アルカリ性になると沈殿が生じ、消毒効果が減弱。
消毒薬は一般に、繊維、生ゴム、プラスチックなどに吸着されやすいといわれます。綿球への吸着による影響を受けやすいのは、低濃度で使用される低水準消毒薬です。
微生物汚染を防止するうえ
でも、綿球の作り置きは避
けてください。
適正な濃度で、十分な薬液
量で調製し、24時間以内を
目安に使い切りましょう。

繊維吸着の影響を受けやすい消毒薬
消毒薬 | 注意点 |
---|---|
ベンザルコニウム塩化物、 クロルヘキシジングルコン酸塩など |
・綿球やガーゼに吸着しやすく、濃度低下を起こしやすい。 ・微生物汚染を受けやすい。 |
消毒薬: ベンザルコニウム塩化物、クロルヘキシジングルコン酸塩など
- 注意点
- ・綿球やガーゼに吸着しやすく、濃度低下を起こしやすい。
・微生物汚染を受けやすい。