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日常的によく触れるもの、家族と共用のものなどは、定期的に清掃・消毒を行いましょう。
加湿器は、超音波で水を小さい水滴(エアロゾル)にする超音波式、水を加熱して蒸気にするスチーム式、風を当てることで水を蒸発させるフィルター気化式、加熱した水を気化や超音波で小さい水滴(エアロゾル)にするハイブリッド式などがあります。
室内加湿器は構造的にどんなもので微生物汚染を受けやすくなっています。中でも超音波式加湿器は小さい水滴(エアロゾル)を噴出しますので、微生物汚染を受けるとエアロゾルとともに微生物(汚染菌)を噴出します1,2)。このため、超音波式加湿器は、レジオネラ菌や緑膿菌などによる肺炎や、非定型抗酸菌による眼感染症などの感染源になり得ることが判明しています3-8)。
一方、レジオネラ菌は60℃では5分で死滅するので、タンク内の水が加熱されるスチーム式の加湿器は、レジオネラ汚染のリスクはありません。また、フィルター気化式の加湿器はエアロゾルを発生しないので、感染源にはなりません。
| 加湿器 | 加湿方法 | 判別の仕方 | 利点 | 欠点 |
|---|---|---|---|---|
| 超音波式 | 超音波で エアロゾルを発生 |
冷たい"霧" | 加湿力が強い | 微生物を噴出する 危険性がある |
| 蒸気式 (スチーム式) |
蒸気を発生 | 温かい"霧" | 微生物を 噴出しない |
熱傷の 危険性がある |
| フィルター 気化式 |
湿ったタオルの前に 扇風機を 置くようなもの (水分子を発生) |
目にみえない"霧" |
|
やや コンパクトさに 欠ける |
加湿器を使用する際には、タンク内部を常に清潔な状態にしておくことが重要です。
通常の使用にあたっては、次のような点を心がけましょう。
● タンクの水は毎日新しい水道水に交換し、水のつぎ足しはしない
● 使用しない期間はタンク内の水を抜き、よく乾燥させましょう
● 消毒剤噴霧は危険なので行わない。除菌剤をタンクの中に入れない。特に次亜塩素酸ナトリウムは、健康を害する恐れがあるので絶対に加湿器に加えない
タンク内の消毒については、加湿器のタイプによって異なります。洗浄方法はメーカーの取扱説明書に従ってください。
消毒した後は、よく乾かすことが大切です。
ご家族の中に、高齢者や基礎疾患を持つ方、がんの治療中の方など、感染リスクの高い方がいらっしゃる場合には、超音波式加湿器の使用を控えた方が良いでしょう。
コンピュータキーボードの
消毒には、キーボードに
適用可の表示があるアル
コールと界面活性剤両方
を含ませた布や除菌シートが適しています。
次亜塩素酸ナトリウムや消毒用エタノールなどを用いると、ヒビ割れや退色などの材質劣化を招くことがあるので機器の取り扱い説明書を読んで注意しましょう。
スマートフォンやタブレットは、基盤やバッテリーに影響を及ぼす可能性があります。ご注意ください。 > 消毒に使用するアルコールについて詳しくはこちら
・消毒用エタノールで拭き取り ・アルコールと界面活性剤を含む液量たっぷりの除菌シートで拭き取り のいずれかを選択します。
車椅子の手に触れる部分
は、微生物汚染を受けや
すくなっています。よって、
使用するごとにハンドリム
や押手などの消毒を行うと良いでしょう。消毒用エタノールや、アルコールと界面活性剤を含む液量たっぷりの除菌シートで拭き取
るようにします。
また、吐物・排泄物などで汚染を受けた車椅子は、洗浄した後に消毒を行う必要があります。
市販のトイレブラシなどを用いて洗浄し、日陰干しした後に消毒用エタノールや、アルコールと界面活性剤両方を含ませた布や除菌シートで拭き取ります。なお、トイレブラシは、ブラシ部分が使い捨ての製品の使用が望ましいでしょう。
> 消毒に使用するアルコールについて詳しくはこちら
日常的に目に見える汚れやほこりがあれば取り除き9)、よく触れるカーテンは、定期的に洗濯しましょう。
日常的に、ほこりと水分を取り除き、清潔な状態を保ちましょう。
家庭環境では必ずしも消毒薬を使用しなくても、洗剤と水を使って清掃することで充分とされています。
室内全域の清浄化を目的とした消毒薬の噴霧や燻蒸(くんじょう:部屋を閉め切って気体の薬剤を充満させること)は行わない
在宅療養中の環境を消毒したい場合は、刺激臭の少ない低水準消毒薬(ベンザルコニウム塩化物、両性界面活性剤など)を用いて一般細菌を消毒できます。
患者ケアを行う施設等での清掃・消毒方法については、こちらもご参照ください。
血液や体液、吐物・排泄物などが明らかに付着している場合は、見える汚れを除去した後、消毒薬として次亜塩素酸ナトリウムを使用しましょう。10)
濃度は、血液などの汚染に対しては0.5%(5,000ppm)、明らかな血液汚染がなければ0.05%(500 ppm)にしましょう。
高頻度接触面は、「ドアノブ、ベッド柵、テーブル、スイッチ類、トイレの中及び周囲の表面などの、よく手が触れる部分」のことを表します。
あまり手を触れない場所よりも頻繁に清掃、消毒を行いましょう9)。
消毒用エタノールなどのアルコール製剤で、拭き取り消毒を行いましょう。
アルコールが使用できない材質には、ベンザルコニウム塩化物や両面界面活性剤を使用します。その場合、十分な消毒効果が得られない可能性があります。
- 参考資料
- 1) 尾家重治,他: 超音波加湿器の微生物汚染. 防菌防黴, 16: 405-410, 1988【IC01082】
- 2) Oie S, et al: Microbial contamination of ambient air by ultrasonic humidifier and preventive measures. Microbios, 72: 161-166, 1992
- 3) Kropec A, et al: Comparison of three typing methods in hospital outbreaks of Acinetobacter calcoaceticus infection. J Hosp Infect, 23: 133-41, 1993
- 4) 小椋正道, 他: 加湿器肺予防のための在宅での加湿器洗浄と消毒法の検討. 環境感染, 21: 109-114, 2006【IC10650】
- 5) Yiallouros PK, et al: First outbreak of nosocomial Legionella infection in term neonates caused by a cold mist ultrasonic humidifier. Clin Infect Dis, 57: 48-56, 2013
- 6) Moran-Gilad J, et al: Humidifier-associated paediatric Legionnaires' disease, Israel, February 2012. Euro Surveill, 17: 1-4, 2012
- 7) Edens C, et al: Mycobacterium chelonae eye infections associated with humidifier use in an outpatient LASIK Clinic--Ohio, 2015. MMWR Morb Mortal Wkly Rep, 64: 1177, 2015
- 8) Woodds E, et al: Community-acquired cavitary Pseudomonas pneumonia linked to use of a home humidifier. Case Rep Infect Dis, 2017:5474916. doi: 10.1155/2017/5474916. Epub 2017 Dec 28
- 9) CDC: Guidelines for Environmental Infection Control in Health-Care Facilities, 2003
- 10) 厚生労働省健康局結核感染症課長. 感染症法に基づく消毒・滅菌の手引きについて(健感発1227第1号 平成30年12月27日)
- ・地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所「加湿器のレジオネラに注意しましょう」
(http://www.iph.osaka.jp/s012/050/010/030/050/20181121153857.html) - ・厚生労働省「レジオネラ症」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00393.html)
- ・公益社団法人 全国水利用設備環境衛生協会「この冬に向けた新型コロナ・インフル対策の注意点~加湿器・空気清浄機等は適切な使用を~」
(https://suirikyo.or.jp/information/20201001.html)
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