掃除・消毒の方法と注意点 消毒薬研究の第一人者(薬学教授)監修の正しい感染対策方法をチェックしましょう

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Kitchen キッチンまわり

何らかの感染症にかかった人が利用した食器から、他の人に感染症がうつることがあります。
食器・調理器具の消毒方法、キッチンでの注意点を確認しましょう。

食器の消毒方法

・熱水消毒​ ・次亜塩素酸ナトリウムでの浸け置き のいずれかを選択します。
汚れを落とし洗浄した後に殺菌・消毒をしましょう。消毒した後は、水気を拭き取り乾燥させてからしまいましょう。

食器の消毒には、熱水消毒がもっとも適しています1-6)
例えば、黄色ブドウ球菌において、熱水では80℃以上で5秒間の消毒で殺菌効果が得られます。

熱水

加熱できる食器は熱水で
消毒します。
一般的な家庭用食器洗浄
機では70~80℃・10分間などの熱水消毒を行うことにより、強い消毒効果が得られます。

次亜塩素酸ナトリウム

0.02%の次亜塩素酸ナトリウム液に10分程度浸け置きしてから7,8)、流水で十分にすすぎましょう。 なお、色が落ちたり、金属は錆びたりすることがあるので注意が必要です。 手指保護のため、手袋を着用しましょう。
 > 次亜塩素酸ナトリウム製剤の特徴と注意点はこちら

包丁・まな板の消毒方法

・熱水消毒​ ・消毒用エタノールで拭き取り ・次亜塩素酸ナトリウムでの浸け置き のいずれかを選択します。
肉や魚などに用いた包丁とまな板はそのつど洗浄と消毒が必要です。紫外線によるまな板や包丁の消毒は、有効性が低いため勧められません。

熱水消毒

包丁の消毒には、消毒薬よりも熱水消毒が適しています。70℃以上・3分間、80℃以上・1分間、または90℃以上・1秒間などの熱水消毒は、腸管出血性大腸菌(E. coli O157など)やサルモネラ菌のみならず、ノロウイルスの殺滅にも有効です1-6)。
まな板、包丁ともに、一般的な家庭用食器洗浄機の除菌モード(約80℃)で消毒するのがオススメです。または、洗浄後に80℃以上の熱湯をゆっくりかけるなどの方法で消毒します。

熱水消毒​ができない場合 消毒用エタノール

熱水消毒​ができない場合には、消毒用エタノールで拭き取り消毒を行います。水で薄まると効果が落ちるので、水分を拭き取ってから消毒を行いましょう。
 > 消毒に使用するアルコールについて詳しくはこちら

まな板の熱水消毒ができない場合 次亜塩素酸ナトリウム

まな板について、熱水消毒が行えない場合には、0.02~0.05%次亜塩素酸ナトリウムで清拭して10分間以上経過後に、流水で、薬剤が残らないように十分にすすぎましょう。手指保護のため、手袋を着用しましょう。
金属の部分がある場合には、次亜塩素酸ナトリウムが使用できませんので消毒用エタノールで拭いて消毒を行います。 > 次亜塩素酸ナトリウム製剤の特徴と注意点はこちら

ほ乳びんの消毒方法

・熱水消毒​ ・
次亜塩素酸ナトリウムでの
浸け置き いずれかを選
択します。
消毒の前に、ほ乳びんの汚れを落としておきましょう。ほ乳びんの汚れは除去しにくいので、使用後に酸素系漂白剤や酵素系洗浄剤に浸け置きして、その後にブラシ洗浄を行うことが望ましいでしょう。
消毒後は、水気を拭き取り乾燥させてからしまいましょう。

熱水消毒​

家庭では、70~80℃・10分間などの条件で家庭用食器洗浄機を使うことで、十分な消毒効果が得られます1-6)
消毒対象物をお鍋の水に完全に沈めて煮沸する方法は、熱水の飛散等による火傷事故の危険があるため家庭では推奨されません。

次亜塩素酸ナトリウム

前もって、ほ乳びんの汚れを落としておきましょう。なぜなら、次亜塩素酸ナトリウム液は、汚れ(有機物)による効力低下が大きいからです9,10)
ほ乳びんの殺菌消毒は0.0125%(125ppm)の次亜塩素酸ナトリウム液に1時間以上浸します。
その後、調乳の直前にほ乳びんを清潔な手で取り出し、消毒溶液をよく振り切ってから調乳します。すすぐ必要はありません。すすぐ場合は必ず水道水を使用してください。
 > 次亜塩素酸ナトリウム製剤の特徴と注意点はこちら

水道レバーの消毒方法

消毒用エタノール

ペーパータオルに消毒用エタノールを含ませて拭き取ります。濡れている場合には、水分を十分拭き取った後に消毒を行ないましょう。

環境が乾燥状態にある場合には、通常、緑膿菌や大腸菌などにより汚染を受けた場合でも、これらの菌はすみやかに死滅するか、菌数が減っていきます。しかし、湿った状態では菌が死滅せず残っている可能性があります。水まわりの環境は、濡れたままにせず、こまめに拭き取るようにするといいでしょう。
 > 消毒に使用するアルコールについて詳しくはこちら

参考資料
1) Nystrom B: New technology for sterilization and disinfection. Am J Med, 91: 264S-266S, 1991
2) 尾家重治,他:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対する温水の効果. 環境感染, 8: 11-14, 1993【IC01590】
3) Oie S, et al: Efficacy of disinfectants and heat against Escherichia coli O157:H7. Microbios, 98: 7-14, 1999【IC25439】
4) Ebner W, et al: Can household dishwashers be used to disinfect medical equipment? J Hosp Infect, 45: 155-159,2000
5) Block C, et al: An in-use evaluation of decontamination of polypropylene versus steel bedpans. J Hosp Infect, 16: 331-338, 1990
6) Fleisch F, et al: Three consecutive outbreaks of Serratia marcescens in a neonatal intensive care unit. Clin Infect Dis, 34: 767-73, 2002
7) Oie S, et al: Microbial contamination of enteral feeding solution and its prevention. Am J Infect Control, 21: 34-38, 1993
8) Oie S, et al: Comparison of microbial contamination of enteral feeding solution between repeated use of administration sets after
9) Gelinas P, et al: Neutralization of the activity of eight disinfectants by organic matter. J Appl Bacteriol, 54: 243-247, 1983【IC17972】
10) Coates D: A comparison of sodium hypochlorite and sodium dichloroisocyanurate products. J Hosp Infect, 6: 31-40, 1985【IC10117】
・ 文部科学省「調理場における洗浄・消毒マニュアル」(https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1266268.htm

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