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よくあるお悩み

  • 感染発⽣時の報告・指⽰
  • 職員の健康管理
  • 個⼈防護具編
  • 環境整備編

感染発⽣時の報告・指⽰

Q介護⽼⼈保険施設で、感染症が発⽣した際の報告・指⽰体制は
どうしたらいいでしょうか。
高齢者施設で感染症が発生するときには、主に介護職員が利用者さんの体調不良やいつもと違う症状などから気づくことが多いでしょう。
先ずは介護⼠から看護師へ、相談することから始まりますが、実際に感染症を発症していた場合に、感染症を拡げないようにするためには、症状に一早く気づくこと、また症状に気づいたときには、介護職員から看護師に速やかに報告をする体制を整備することが重要です。
あらかじめ報告・指⽰体制のフローを作成し、全職員でシェアしておきましょう。
必要に応じて、連携病院や協力医療機関への相談が必要になります。
日ごろから、連携を取り、速やかに相談できる体制を整えておくことが重要ですね。また、集団発生が起きた時は、保健所への報告を行っていきましょう。

感染発⽣時の報告・指⽰

感染症発⽣時に⾏うこと
  • 1発⽣状況の把握
  • 2感染拡⼤の防⽌
  • 3⾏政への報告
  • 4関係機関との連携

役割ごとの報告・指⽰のポイント

POINT
施設⻑(管理者)

感染対策は組織全体で取り組むものです。組織のトップが感染対策活動に理解を⽰し、牽引していくことが⼤切です。

  • ・施設全体の感染対策に必要な体制の準備と法令の厳守
  • ・職員の感染対策のバックアップ
  • ・施設全体の感染症発⽣状況を把握し、必要に応じて保健所への報告や協⼒医療機関との連携をとります。

※介護職員のみの事業所等においては、感染対策担当者や施設⻑が、利⽤者のかかりつけ医や連携している医療機関に相談し、事業所内での対応を検討します。

看護師

医療の知識を持つ看護師は、利⽤者の健康状態の確認や医師、施設⻑への報告、現場の介護⼠などに対して感染拡⼤防⽌のための対策に関する助⾔・⽀援を⾏います。

看護職員

感染症の疑いやいつもとは違う変化に気づいたら、医師や看護職員と連携し管理者に情報共有します。
施設の感染対策マニュアルに従い、速やかに感染対策担当者に状況を共有するとともに、感染対策担当者は施設⻑に情報共有します。

感染対策委員会について

令和3年度(2021年度)の介護報酬改定で、施設系、通所系を問わず感染対策委員会の設置の義務化が決定し、令和6年度から感染対策委員会の設置が義務化されました。感染対策委員会の役割についても確認しておきましょう。

感染症発⽣時のために事前に備えておくといいこと

  • ・応援体制/協⼒体制
    ⼩規模施設では職員にまで感染が及ぶと⼈員が⾜りなくなる可能性があります。
    地域の同様の施設同⼠で応援体制を整えておくといいでしょう。
  • ・発⽣時の報告体制や対応マニュアルの作成・共有
  • ・職員宿泊施設の⽤意
    など

職員の健康管理

Q職員の健康管理について、どこまで必要でしょうか。
体調や発熱などの報告は⽇常的に⾏うようにしています。
⾼齢者施設で発⽣する感染症は、外部から持ち込まれた病原体によるものが多くを占めます。
また特に施設職員は利⽤者と接触する機会が多くあるため、病原体の媒介者になる可能性が⾼いです。感染対策の3つのポイント「病原体を持ち込まない」「病原体をやり取りしない」「病原体を持ち出さない」を念頭に、職員も適切な健康管理を⾏いましょう。職員⾃⾝は、体調不良の際には、無理をせずに速やかに報告しましょう。
管理者も、職員が相談や報告をしやすく、かつ休暇が取りやすい環境を整えることが⼤切です。

健康管理のポイント

POINT
⼊職時

新たに働く人には、麻疹・風疹の罹患歴及びワクチン接種歴、B型肝炎の予防接種歴や抗体価について確認する。

  • ※常勤雇⽤される⼈については、雇⼊時の健康診断として胸部エックス線検査を実施すること(労働安全衛⽣規則)。
  • ※外国⼈職員は、国によって予防接種
⽇常の管理
  • ・出社前の体温測定、勤務時の体調確認・報告
  • ・咳エチケット、感染症の流⾏状況に応じてマスクの着⽤を徹底
  • ・体調がすぐれない場合に、相談、報告、休養がしやすい体制づくり
  • ・家族などが感染した際にも相談、報告(必要に応じて就業制限や⼀時的な配置換えなどの調整を⾏う)
健康診断

施設の事業者は職員に定期の健康診断を⾏う義務があり、職員も健康診断を受ける義務がある(労働安全衛⽣法)。

予防接種

予防可能な感染症*については、可能な限りワクチンを受けることが重要。
予防接種を受けることができない職員には、健康管理をより強化するなどの対応が求められる。

*医療関係者に推奨されているワクチン
インフルエンザワクチン、B型肝炎ワクチン、⿇疹ワクチン、⾵疹ワクチン、⽔痘ワクチン、流⾏性⽿下腺炎ワクチン

Q職員から家族がインフルエンザになったと報告がありました。
職員本⼈には症状はないようですが、この職員や他の職員にも検査を受けてもらう必要はありますか?
速やかに報告されたことは、とてもいい対応ですね。
ただ職員の⽅は症状がないということで、どう対応していいか迷う場⾯です。
基本的な対応としては、職員と同居している家族が感染した場合は、職員⾃⾝も健康に気を配り、早めに管理者(責任者)や感染対策担当者等に相談するようにします。
すでに症状がある場合には、出勤せずに医療機関を受診します。
症状がないときには、検査の必要はありません。
出勤は、認めることが現実的かもしれません。
その場合、一定期間は体温測定など毎日の健康チェックを行い、必ず常時マスクを着用します。
ただし、本来は感染症の潜伏期の場合があるため、感染していないことが明らかになった段階で出勤するようルール化することが望ましいです。
症状が現れた場合にも、速やかに業務を中断して医療機関を受診するようにします。
施設の責任者は、必要に応じて当該職員の休暇の取得を検討したり、利⽤者と接触がない職場・役割などへの⼀時的な配置換えを感染管理担当者と調整したりする必要があります。
職場復帰の時期も知っておきたいですね。
感染症ごとに本⼈に発症した場合と、同居者に発⽣した場合の就業制限が定められていますので、それに従う必要があります。

個⼈防護具編

Q個⼈防護具ってどこで脱ぎ着するのが⼀番いいのですか ?
個人防護具は、接触感染対策や飛沫感染対策をしている部屋に入るときに着用します。
その後部屋から出るときにはすベて外して、部屋の外に防護具を持ち出さないようにして出ましょう。
Q清潔な個人防護具を保管する場所はどこが望ましいですか。
個人防護具は清潔に使用するものであることから、清潔なエリア(場所)に設置・保管しましょう。
Q普段からメガネをつけているのでゴーグルをしなくても⼤丈夫ですか。
メガネの多くは、顔の横部分まで覆うデザインになっていないことや⼤きさもさまざまなことから、介助の内容によっては⾶沫を受ける可能性があります。普段からメガネをしていても、⽬の保護が必要な場⾯ではゴーグルまたはフェイスシールドなどを着⽤しましょう。
Q使い捨て手袋やエプロン、ゴーグルが不足したときに、代用や再利用してもいいものがあったら知りたいです。

ゴーグル・フェイスシールドの一般的な洗浄方法

注意点
  • 1目に見える汚れがある場合には、
    洗浄および消毒を行う。
  • 2手袋を装着した状態で消毒・洗浄を行う
  • 3一度外した場合には再度、装着前に洗浄・消毒を行う
  • 4損傷した場合は破棄する
洗浄・消毒方法
ゴーグルは、目に見える汚れがなくいったん外す場合には、外表面をアルコール消毒します。
1日の業務が終了したら中性洗剤で洗浄し、よく乾燥させてから再利用するようにしましょう。
フェイスシールドも、自分専用で他の職員と使い回しすることがなければ、
内側の消毒についてはそれほどシビアになる必要はなく、上記のゴーグルと同じように扱います。

※製品ごとに添付している取扱説明書を確認し、記載の手入れ方法に従うこと

環境整備編

Q⼝腔ケアをするときに部屋の換気はしたほうがいいのでしょうか。
冬はかなり寒さが厳しい⼟地柄、換気が難しいのですが。
室温が保てないほどの過度な換気は、利用者や職員の体調不良にもつながりかねないので避けたいですね。
利用者と窓の距離を十分にとったうえで、食堂など人が大勢集まる場所では、1か所の窓だけでなく、2カ所の窓を開けることで空気の通り道ができて効率的な換気ができます。窓から風が入る場合は、窓を開けましょう。
2つの窓は対角線上にあるとさらに効率的です。
エアコンや加湿器等も上手に使いながら室温を調整しましょう。
監修 目崎 恵さん
新潟⼤学地域医療教育センター・⿂沼基幹病院看護部
看護師⻑(感染管理認定看護師)
愛知県名古屋市出⾝、結婚を機に新潟県南⿂沼市に移住。
2012年感染管理認定看護師(CNIC)

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