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食事介助では、まず介助者自身が感染しないことが大切です。
そして、利用者さんに伝播させないことも大切です。
ケアの際に、分泌物や飛沫が飛び散る可能性があるときには
個人防護具(PPE)を装着することが重要です。
手指衛生を行うタイミングを考える
ケアのレベルや感染経路に応じた個人防護具をつける
食堂の席の配置を工夫する
利用者のQOL(生活の質)と感染対策のバランスを考える
⾷事介助時には、利⽤者の⾶沫から感染が広がる可能性があります。
それから、汚染された⼿やモノなどを介して感染が広がることにも注意が必要ですね。
しかし、⾷事は利⽤者の交流の場でもあるので、厳しすぎる制限は避けたいところです。
利用者のQOLと感染対策とのバランスを検討しながら、連続的に介助する場面、一人ずつ介助する場面、見守りながら一部介助する場面など「誰を何から守るの?」という視点で感染対策を考えていくといいでしょう。
利⽤者が居室から⾞椅⼦or
徒歩で⾷堂へ移動。
⾷事の前に⼿指衛⽣

⾷事の前に必ず⼿指衛⽣を。
⼿洗い場で⽯けんと流⽔による⼿洗い、またはアルコール消毒のどちらかでOK。必要に応じて利⽤者の⼿指衛⽣を⼿伝います。施設は⽣活の場でもあることから、⾷事介助時に個⼈防護具のフル装備はやりすぎという印象を持っています。利⽤者の⾷べる⼒は⼈によりまちまち。⾃⼒で⾷べられる⼈もいれば、全行程で介助が必要な⽅もいます。ケアのレベルに応じて環境を整えておきましょう。
- ケアのレベルに応じて、
環境を整えておきましょう。 - ケアのレベルに応じて、何で汚染するかを考えて必要な個人防護具や手指消毒剤がすぐその場で使える環境を整えましょう。また使った手袋などをすぐに捨てることができる場所を整えておきましょう。

利⽤者が着席場所へ移動

⾷堂ではレイアウトの⼯夫を。
マスクを着⽤せずに1メートル以内の距離で⾷事や会話をすると、
⾶沫感染のリスクが⾼まります。
- Q⾷堂では着席位置を⾃由席にしています。
感染リスクを考えると座席は決めておいた⽅がよいですか。 - コロナやインフルエンザなどが流行している時期には、利用者同士の感染の広がりを防ぐために、交流の機会となる食堂の席の配置に注意をすることも大切ですね。
かといって、交流や⾷事の楽しみを制限し過ぎてしまうのは避けたいですね。
感染症の流行中は、居室ごとの食事も効果的です。普段から交流機会のある利⽤者同⼠が近くになるように座っていただくのが望ましいでしょう。多床室の利⽤者の場合は部屋単位で近くに配置したり、⻑期利⽤者とショートスティ利⽤者とは席を別にしたりするなど⼯夫しましょう。
- Q利⽤者さんの中には、⾷事中ずっと⼤声を出しておしゃべりをしている⽅がいてヒヤヒヤします。
- ⾷事中に⾶沫が周囲に⾶び散る場⾯が想定できますね。
利⽤者さん同⼠の感染を避けるには、この場合にもテーブルレイアウトや席の配置を⼯夫するといいでしょう。
⼤きなテーブルの場合には、利⽤者さん同⼠が対⾯で向き合わずに済むように、椅⼦をずらすようにしてジグザグに座ってもらうという⽅法もあります。
同様に、症状の有無に関わらず、テーブルを汚染する可能性が⾼い利⽤者は、そうでない⼈とテーブルを分けたほうが、⾷事介助もスムーズですし感染対策をしやすいでしょう。
- Q少し咳をしている利⽤者さんがいた場合、
1メートル 以上、席を離すようにすれば⼤丈夫でしょうか。 - 1メートル以上の間隔を保つようにしたのはいいですね。
ただ⾷事中に利⽤者さんが咳き込んだりむせたりした場合には⾶沫が⾶散することも考えられます。
時間に余裕があるなら、有症の⽅や感染症(の可能性)のある利⽤者の⾷事介助は、順番を最後にするなどの対策を⾏うとよいでしょう 。
⾷事介助準備

食事介助を行う介助者はマスクのほかに、咳込みなどむせが強く飛沫が飛んでくる可能性が高い場合は、ゴーグルなどのアイガードをして眼・鼻・口を守ります。
- Qインフルエンザとコロナではとちらが、感染⼒が強いですか。
ウイルスによって⾷事介助の対応を変える必要はありますか。 - 対応を変える必要はありません。私たちが相手すべきは、あくまでも血液や唾液、嘔吐物など感染源となる可能性があるものです。
食事介助時の感染経路は主に飛沫感染になるので、嚥下障害がある利用者やむせが強い利用者への介助では、マスクに加えゴーグルなど眼の防護具を着用しましょう。いつでもサッと取り出して使えるように、手指衛生のためのアルコール消毒液を各自携帯するといいでしょう。
⾷事介助を⾏う

- ・食事介助の時は手袋自体が必要かを考えましょう。
- ・基本的に⾷事介助は1名ずつ⾏い、正⾯で対⾯しないようにし、
利⽤者の横や斜め後ろの位置から介助します。 - ・食事介助中はマスクは着けて介助を行います。マスクを触ったり、
ずらしたりしてはいけません。 - ・嘔吐物は感染性のある体液として扱います。⾷べ残しは通常の残飯
として扱います。
- Q⾷事介助の際、⼿袋はどのタイミングでつけたらいいでしょうか。
- 手袋は必ずしも必要ではありません。手袋がかえって微生物を運ぶ媒介となる可能性があるためです。介助中に手指が唾液や嘔吐物などで汚染する可能性があるときに手袋を着用しましょう。また手袋をしている場合も、汚染を拡大させないために、一人の介助ごとに手袋を交換する必要があります。その汚染された手袋を外した時は石けんと流水による手洗いか、アルコール消毒による手指衛生をしましょう。
- Q⼈⼿が⾜りなく、1⼈で複数の利⽤者の⾷事介助をしなくてはなりません。⼿袋を⼆重につけて交換しながら⾏ってもいいですか?
- 手袋は介助者を守るために着用されますが、介助をした後に交換されていない手袋を使用すると微生物を運ぶ媒介となってしまうことを、まずは意識してください。1人の利用者に職員1人が付き添い、介助終了後に手指衛生をしてから、ほかの利用者の介助を行うならばいいのですが。(二重にした手袋を交換するとしても)手袋をしたまま複数の利用者に交互に介助を行うと、利用者同士や環境に汚染を広げてしまうリスクが高まりますね。では、どうしたらいいでしょうか? 次のように分けて考えましょう。
A:利用者が自分で食べることができず、介助者が、利用者ごとにスプーンの柄(え)の部分だけを持ち食事介助を行うとき
→ 手袋、手指衛生は不要。B:利用者が自分で食べているスプーンの柄(え)を介助者が持って介助を行うときや、1人ずつ介助していく、もしくは複数名を介助しなくてはいけないとき
→ 次の人に汚染を広げないよう手指衛生が必要
⾷事終了、利⽤者は順次
居室へ移動。または⾷後に
⼝腔ケアを⾏う場合も

⾷後にも⼿指衛⽣を⾏います。
- Q⾷事後のテーブルを拭く際に、アルコール消毒は必要でしょうか。
- 感染症の流⾏時期でもなく、嘔吐したというようなことがないようなら、⾷事の後はテーブルをキレイにするために通常の⽔拭きでいいと思います。
消毒までは必ずしも必要ではありません。
- 介助者(⾃分)を守るために個⼈防護具を正しく着⽤しましょう。
- ⾶沫感染リスクを最⼩限に抑える⼯夫をしましょう。
- 個⼈防護具の着脱前後は必ず⼿洗い⼜は⼿指消毒を。
- テーブル配置を⼯夫しましょう。
- ⼿指衛⽣を確実に実施するためにも、介助者はアルコール消毒液をポシェットなどに⼊れて携帯するといいでしょう。
- 感染を広げないために、介助後は個人防護具を外しましょう。

- 新潟⼤学地域医療教育センター・⿂沼基幹病院看護部
看護師⻑(感染管理認定看護師)
愛知県名古屋市出⾝、結婚を機に新潟県南⿂沼市に移住。
2012年感染管理認定看護師(CNIC)