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感染対策に関する情報で悩んだ時に実践的ですぐに使える情報を

感染対策は、基本のマニュアル通りに
行うことが大原則。
一方で高齢者施設は「生活の場」であり、
施設ごとの課題もあるため
病院と同じようにできないこともあります。
そうしたお悩みに役立つ情報&
アドバイスをまとめました。
周りにすぐに相談できる⼈がいない、
そんな時にもぜひご活⽤ください。

監修 日崎 恵さん
新潟⼤学地域医療教育センター・⿂沼基幹病院看護部
看護師⻑(感染管理認定看護師)
愛知県名古屋市出⾝、結婚を機に新潟県南⿂沼市に移住。
2012年感染管理認定看護師(CNIC)

感染対策

感染を予防するためには、まず感染についての正しい理解が必要です。

  • 感染対策の基本
  • 標準予防策の重要性
  • 高齢者施設に潜む感染症リスク

感染対策の基本

感染症は①病原体(感染源)②感染経路(どうやって)③宿主(免疫力/抵抗力の低下)の3つの要因がそろうことで感染するため、これら3つの要因のうちひとつでも取り除くことが重要です 。

感染制御の基本は3つ

感染制御 病原体を… 持ち込まない 持ち出さない 拡げない

手指衛生が最重要

病原体は、病原体が付着した手や物、または飛沫などから目鼻口へ侵入し、感染を広げます。高齢者施設で感染症が発生する場合、最初の感染源は職員や訪問する人など外から持ち込まれる可能性が高いと考えていいでしょう。また、高齢者施設は生活の場でもあり、利用者さんは施設内を比較的自由に動き回ることができます。
まずは基本中の基本である「手指衛生」が重要な対策となります。

  • ⼿指衛⽣(⼿洗い、アルコール消毒)は、感染源から自分を守るだけではなく、他の人の元へ運ぶことを阻⽌します。
  • 環境清掃(⼿に触れる部分を除菌する等)は、感染源が運ばれる前に取り除くことで病原体の移動を阻⽌します。

標準予防策の重要性

標準予防策とは、全ての利用者に対して標準的に行う感染予防策のこと。
汗を除くすべての物質(血液・唾液・分泌物・おう吐物・排泄物・創傷皮膚・粘膜等)は感染源となるため、感染する危険性があるものとして取り扱うという考え方です。 。

感染源となる可能性があるもの

  • ●嘔吐物、排泄物(便・尿等)、創傷皮膚、粘膜等
  • ●血液、体液、分泌物(喀痰・膿等)
  • ● 介助などに使用した器具・器材(注射針、ガーゼ等)
  • ● 上記に触れた手指等

具体的な標準予防策

  • 1施設内に入る時やケア前後は手指消毒や流水による
    手指衛生、あるいは手洗いか手指消毒を行いましょう。
  • 2個人防護具(PPE)をつけて自分自身が感染しない
    ようにしましょう。
  • 3咳やくしゃみをしている人にはマスク着用してもら
    いましょう(咳エチケット)。
  • 4居室・環境整備(清潔、清掃、換気等)を実施しましょう。
ここがポイント

手袋のつけっぱなしに注意を。「つけっぱなし」は、手袋なしで消毒せずに介護しているようなもので、汚染を拡大させてしまう可能性があります。自分も他の利用者や職員も守る意識を持ちましょう。

個人防護具の着脱手順はこちら

これができれば、職員(介護者含む)から利用者へ、利用者から職員へ、または利用者の病原体が職員を介して別の利用者へ拡がることを防ぐことができます。感染対策は、利用者さんと職員の皆さん、訪問者それぞれがうつしあったり広げたりすることのないように日常的に実施することが大切です。
病原菌はどこで発生し、どうやって人から人へ拡がっていくのか。
「目に見えない病原体がいるかもしれない」ことを前提に、具体的な感染経路をイメージしながら対策をしていきましょう。
1つでも多く1人でも多く感染経路を遮断することができれば、それだけ予防効果も上がります。

高齢者施設に潜む感染症リスク

職員や家族、訪問者からの市中感染症の
持ち込みによる感染拡大のリスクが高い。
自分のちょっとした体調不良を察知しましょう。無症状でも感染させてしまう可能性があることも考えて、飛沫が出ないようにマスクの着用と入り口に手指消毒剤の設置と手指衛生を行うことが大切です。
多くの人が触れる場所を介して
感染するリスクがある。
いつでもどこでも手指衛生ができるように、携帯用手指消毒剤を持ち歩いたり、手指消毒剤がすぐに使える環境を整えることも重要です。
免疫力の低下した利用者、認知機能が低下した
利用者さんが比較的多く
感染対策が守られない状況が起こり得る。
利用者側の事情により感染対策をするのが難しい場合には、自分(介助者や職員)の感染対策をしましょう。免疫力の低下は栄養不良、睡眠不足、運動不足や過度なストレスなどからも生じます。高齢者施設は、高齢者が集団で生活する場でもあり、日常での利用者の方との会話や、食事が楽しいものであったり、安心して穏やかに暮らせる環境も大切です。
日常的に介護が必要な利用者さんが多く、
食事介助、排泄介助などの
直接ケアで利用者さんの唾液、粘膜、
排せつ物に触れる可能性が高い。
そのため、それらの物質から介護者を
守るために個人防護具をつけること、
その個人防護具をつけたままにして、
施設環境を介して感染が広がる要因
となる可能性があります。
防護具を適切に着用してケアができるように、近くに防護具を置いておき、環境を汚染しないように、ケアが終われば防護具を脱ぎ、すぐに手指衛生ができるように手指消毒剤が設置された環境が大切です。

高齢者施設は、感染症にかかりやすい高齢者が集団で生活する場だからこその難しさがありますね。利用者さん一人ひとりの日々の楽しみや健康的で安心・安全な生活を守りながら対策していけるよう、ケアに必要な防護具の着脱と汚染を広げないための手指衛生を行う感染対策が求められます。場面ごと、介助の種類ごとの感染対策の流れやポイントをおさえておきましょう。

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