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ノロウイルス感染症にご注意を~強い感染力と正しい対策を知っておきましょう~

【症状】
吐き気・嘔吐 , 消化器症状 , 腹痛・下痢
【感染症名】
ノロウイルス
ノロウイルス感染症にご注意を~強い感染力と正しい対策を知っておきましょう~

最近、結婚式場で開かれた披露宴や、有名グルメガイドに掲載されたことのある飲食店で、ノロウイルスによる集団感染が報告されています。いずれも高級感のある清潔な施設で、衛生管理も行き届いているように見える場所でしたが、たった一度の消毒ミスや、体調不良での調理作業が感染拡大のきっかけになりました。



ノロウイルスは非常に感染力が強く、ごく少量(10~100個程度)でも感染し、空気中や環境表面を介して一気に広がることがあります。特に小さなお子さんは症状が強く出たり、脱水症状を起こしたりしやすく、またアルコールは効きにくいため、ご家庭でも予防や正しい対処法を知っておくことが大切です。



今回は、流行の状況や感染経路、予防法などをわかりやすくご紹介します。



概要・感染症の特徴


ノロウイルスは、基本的に秋から冬にかけて流行する感染性胃腸炎の主な原因ウイルスです。年齢を問わず感染し、嘔吐・下痢・腹痛・発熱といった症状が見られます。子ども・高齢者では重症化することも。感染から発症までの潜伏期間は24~48時間で、発症後も数日間はウイルスを排出するため、回復後の対策も重要です。
⇒ノロウイルスについて詳しくはこちら



流行状況


ノロウイルスは「感染性胃腸炎」として感染症法上の5類感染症(定点報告対象)に分類されています。
国立健康危機管理研究機構(JIHS)の感染症発生動向調査(IDWR)によると、
• 全国的な傾向では、2025年第24週(6月9~15日)時点の定点当たり報告数は、過去5年平均とほぼ同水準で、「例年の夏季並み」の感染状況です。
• 例年、11月~2月がピークとなりますが、今年は5月以降も一定の報告があり、初夏でも油断できない状況が続いています。
• 福岡県など一部地域では、保育施設や飲食店などを中心に小規模な集団感染の報告が続いています。

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このように、現在では冬だけでなく1年を通じて注意が必要な感染症です。



感染経路


ノロウイルスの主な感染経路は以下の通りです。
1. 食品を介する経口感染
 → 加熱不十分な二枚貝(カキなど)、調理者の手指からの汚染が原因
2. 接触感染
 → 感染者の嘔吐物・排泄物に触れた手や、汚染されたドアノブ、テーブルなどからの感染
3. 飛沫・空気感染(エアロゾル)
 → 嘔吐時などに飛び散ったウイルスが空気中に舞い上がり、吸い込むことで感染
 特に乾燥したウイルスが舞い上がる室内では、空調や換気の管理も大切です。



予防法


ノロウイルス対策は「持ち込まない・広げない・やっつける」が基本です。
手洗いが最重要!
• アルコールは効きにくいので、石けんと流水で30秒以上しっかり手を洗いましょう。
• 特に「トイレ後」「食事前」「調理前後」は念入りに。
 ⇒正しい手の洗い方についてはこちら
食品の加熱
• 食材は中心温度85~90℃で90秒以上加熱することが推奨されます。
• 特にカキなどの二枚貝は十分な加熱が必要です。
 ⇒食中毒について詳しくはこちら



環境消毒


• 嘔吐物・排泄物は手袋・マスクを着けて処理し、0.1%次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)で消毒を。
 ⇒嘔吐物の処理方法動画はこちら
 ⇒次亜塩素酸ナトリウム製剤の特徴と注意点はこちら
アルコールは効きにくいので注意が必要です。アルコールで拭いて消毒したつもりでも、それでは塗り拡げているだけになってしまいます。その後乾燥すると、ウイルスが舞い上がってそれを吸い込み、感染してしまうのです。
特に、嘔吐物や下痢の処理をする時は、次亜塩素酸ナトリウムで消毒するようにしましょう。次亜塩素酸ナトリウムが使えない場合は、アルコールを含ませた布などで二度拭きしましょう。



体調不良時の出勤・登園制限


• 法的な決まりはなく、下痢・嘔吐症状が軽快すれば登校などは可能ですが、通常では1週間程度長いときには1ヶ月程度ウイルスの排泄が続くことがあるので注意が必要です。



「清潔そうに見えるから大丈夫」「アルコールで消毒したから大丈夫」と油断せず、日頃の手洗い・消毒・食品の扱い方を見直してみましょう。お子さんや高齢者など感染に弱い方が身近にいる場合は、特に注意が必要です。
身近な対策で、家族みんなの健康を守っていきましょう。



関連情報
• 厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&A

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html
• 国立健康危機管理研究機構(JIHS) 感染症発生動向調査 IDWR 2025年第24週

https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/jp/rapid/2025/24/index.html

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