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いま流行している「百日咳」とは? ~しつこい咳にご注意!~

【症状】
咳・喉の痛み
【季節】
いま流行している「百日咳」とは? ~しつこい咳にご注意!~

楽しいゴールデンウィーク真っ只中ですが、子どもを中心に感染する百日咳(ひゃくにちせき)の報告数が増加しています。生後間もない赤ちゃんでは重症化するケースが報告されており、注意が必要です。



百日咳とは?

百日咳は、百日咳菌(Bordetella pertussis)による細菌感染症です。いずれの年齢でもかかりますが、特に小児が多く、母親からの免疫が十分でないと、乳児期早期から罹患する可能性があります。
その名の通り2~3か月(約100日間)で回復すると言われていますが、経過は3期に分けられます。
1.カタル期(約2週間持続):感染初期は軽い咳や鼻水など、風邪のような症状がみられますが、だんだん咳が増えて、激しい咳になってきます。
2.痙咳期(けいがいき)(カタル期の後に約2~3週間持続):だんだんと特徴ある発作性けいれん性の咳(痙咳)、「コンコンコン、ヒューッ」というような咳が出るようになります。
 特に乳児は、無呼吸発作や顔色が悪くなるチアノーゼ、けいれん、呼吸停止など、重症化する危険性があります。
3.回復期:激しい発作はだんだんと治まっていき、2~3週間で認められなくなります。成人の場合では咳が長期にわたって持続しますが、典型的な発作性の咳を示すことはなく、やがて回復に向かいます。



百日咳にかかった場合、一般に0.2%、月齢6か月以内では0.6%の小児が亡くなるといわれています。
また、肺炎を合併する割合は全体で約5%、月齢6か月以内では約12%で、その他、けいれんや脳炎など重い合併症を引き起こすこともあります。



流行状況

百日咳は、咳が出る五類感染症感染症ですが、定点報告である急性呼吸器感染症には含まれず、全数把握疾患となります。
→急性呼吸器感染症についてはこちら
すべての診断例が保健所に報告され、国が発生動向を監視しています。
また最近では、これまで治療に使われていた抗菌薬であるマクロライドに耐性がある百日咳菌(macrolide-resistant Bordetella pertussis:MRBP)の検出が増えており、耐性菌感染による重症例も報告され、生後1か月の健康な女児が死亡した事例も報告されています。

国立健康危機管理研究機構が発表した感染症発生動向調査 週報2025年15週(4月7日~4月13日)に全国の医療機関から報告された患者数は1222人で、過去最多だった前の週を500人上回り、今の方法で記録を取り始めた2018年以降で最も多くなりました。

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また、今年のこれまでの累計の患者数は7084人となっており、すでに去年1年間の患者数4054人をおよそ3000人上回っています。



感染経路

百日咳は、主に飛沫感染(咳やくしゃみ)によって人から人へ広がります。
また、その飛沫などに触れることによる接触感染もあります。感染力は非常に高く、特に家庭や保育園、学校など密接な接触の場での感染が多いです。



予防法

最も重要な予防策はワクチン接種です。罹患(りかん)リスクを、ワクチン接種により、80~85%程度減らすことができると報告されています。
日本では2024年4月から、5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)が定期接種となっており、これに百日咳成分も含まれています。
5種混合ワクチンとは、ジフテリアワクチンを、百日せき・破傷風・不活性ポリオ・ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)の各ワクチンと混合したワクチンです。

接種スケジュール
初回接種:生後2~7か月に3回接種(20日以上の間隔)
追加接種:初回接種終了後6か月以上の間隔で1回

また、
•家族や周囲の大人も、ワクチンで百日咳に対する免疫を持つこと
•体調不良時にはマスク着用、手洗い、咳エチケットを守ること
も重要です。
特に生後6か月未満の赤ちゃんは重症化リスクが高いため、周囲の大人が感染源とならないよう注意しましょう。



他に流行している感染症

  • 麻しん(はしか)
    2025年春は、百日咳だけでなく麻しん(はしか)の発生も報告されています。
    外務省は、海外での麻しん(はしか)感染に注意喚起する広域情報を発出しました。
    海外で麻しんの流行が確認されていますので、大型連休中に海外への渡航を予定している人は、関連情報を改めて確認するようにしてください。
    麻しんも非常に感染力が高く、未接種者や免疫が不十分な人に広がりやすいため、MRワクチンによる予防接種が推奨されています。
    →麻しん(はしか)について詳しくはこちら
  • 結核
    結核の集団感染が報告されています。同じ施設を利用していて感染したものですが、結核も長引く咳が特徴です。2週間以上咳が続く場合は医療機関を受診しましょう。
    →結核について詳しくはこちら



せっかくのゴールデンウイーク。長引く咳には注意して、楽しく過ごしましょう。



【関連情報
厚生労働省 百日せき(百日咳)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/whooping_cough.html
国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト 百日咳の発生状況について
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ha/pertussis/020/2504_pertussis_RA.html
厚生労働省 五種混合ワクチンについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/dpt-ipv-hib/index.html

外務省 海外安全ホームページ 大型連休中の海外における麻しん(はしか)に関する注意喚起

https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2025C013.html

千葉県 結核の集団発生について(令和7年4月25日)

https://www.pref.chiba.lg.jp/shippei/press/2025/syuudan20250425.html

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