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11月は薬剤耐性(AMR)対策推進月間
- 【症状】
- 吐き気・嘔吐 , 発熱・悪寒 , 皮膚の化膿・炎症 , 肺炎 , 腹痛・下痢 , 菌血症・敗血症 , 頭痛がする
- 【季節】
- 春, 夏, 秋, 冬
- 【感染症名】
- 薬剤耐性菌感染症

薬剤耐性とは細菌に感染したときに使う抗菌薬※の不適切な使用により、抗菌薬が効きにくくなる、または効かなくなることです。薬剤耐性対策に関する全国的な普及啓発活動を推進するため、毎年11月は「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」に設定されています。薬剤耐性をもつ様々な細菌が確認され、感染症の予防や治療が困難になるケースが増えており、2019年時点で世界では薬剤耐性菌によって年間約127万人が死亡しています。
※抗菌薬:細菌を壊したり増えるのを抑えたりする薬のことです。その中でも微生物が作った化学物質のことを抗生物質ということもありますが、この記事ではまとめて抗菌薬とします。
薬剤耐性菌の増加
1943年以降、ペニシリンをはじめ、多くの抗菌薬が開発され、感染症の治療が進みました。その一方で、抗菌薬に対する耐性菌も出現し、1962年メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)をはじめ、多くの薬剤耐性菌が出現し、病院内感染が問題となっています。
薬剤耐性菌は健康な人に影響を及ぼすことは多くありませんが、免疫が低下した人や高齢者が感染すると、治療が長引いたり時には死亡したりすることがあります。病院内での感染拡大に加えて、医療機関の外でも感染が広がることがあります。
MRSAについてはこちら
薬剤耐性に関するアクション・プラン
抗菌薬の効かない感染症が増加すると、感染症の治療が難しくなり、2013年時点の推計では、何も対策を行わなければ、2050年には世界で年間約1,000万人が死亡する可能性があります。
このような状況を踏まえて、世界保健機関(WHO)では2015年5月に「薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プラン」が採択され、日本でも2016年に「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン 2016-2020」が策定されました。また、さらに薬剤耐性対策を進めるために2023年に新たなアクションプランが取りまとめられました。
薬剤耐性菌が広がる理由:抗菌薬はウイルスによる風邪には効かない
抗菌薬は細菌に効果がありますが、インフルエンザなどウイルスを原因とする感染症に服用しても効果がありません。効果がないだけではなく、下痢、嘔吐、発疹などの副作用を起こす可能性があり、さらに薬剤耐性菌発生のリスクが高まります。インフルエンザなどウイルスを原因とする感染症のときに抗菌薬を飲んで症状が良くなったのであれば、自分自身の免疫でウイルスを退治したのかもしれません。
細菌とウイルスの違い
細菌とウイルスは、構造なども異なります。
必要のないときに抗菌薬を飲むだけではなく、自分の判断で薬の量を減らしたり服用を止めたりすると、血液中の抗菌薬の濃度が低い状態になり細菌が完全に死滅できず、残った細菌が耐性を獲得しやすくなります。症状がなくなっても処方された抗菌薬は最後まで飲みましょう。
薬剤耐性菌を増やさないために
・抗菌薬は医師の指示通りに飲む
・自ら抗菌薬を希望しない
・抗菌薬を余らせたりとっておいたりしない
・抗菌薬をあげたりもらったりしない
感染症を予防することが薬剤耐性も予防することになる
抗菌薬を正しく服用することが大切ですが、感染症を予防することも大切です。
私たちの手には目に見えないたくさんの菌が付着しています。手洗いやアルコール手指消毒薬の使用により、自分の体に菌が侵入することを防いだり周りの人に感染を拡げることを防いだりできます。
また、感染症にはワクチンで予防できるものがたくさんあります。ワクチンを接種すると、その菌に対して免疫を獲得し、感染症の発症や重症化を予防できます。ワクチンで予防できる細菌感染症には、肺炎球菌感染症、Hib(ヒブ)感染症、破傷風、百日咳などがあり、いずれも子どもの定期接種対象です。
手洗いの方法はこちら
予防接種についてはこちら
手洗いと必要なワクチン接種によって感染症を予防し、抗菌薬を処方されたら医師の指示通り正しく服用しましょう。
関連情報
AMR臨床リファレンスセンター
薬剤耐性AMR対策推進月間2023キャンペーンサイト
(https://amr.ncgm.go.jp/information/campaign2023.html)
日本の薬剤耐性菌の状況 医療現場での耐性菌増加
(https://amr.ncgm.go.jp/general/1-3-1.html)
アクションプラン
(https://amr.ncgm.go.jp/general/1-4.html)
感染症の基本 細菌とウイルス
(https://amr.ncgm.go.jp/general/1-1-2.html)
抗菌薬とは
(https://amr.ncgm.go.jp/general/1-1-3.html)
薬剤耐性はどのようなときに起こるのか 不適切な処方・不適切な服用
(https://amr.ncgm.go.jp/general/1-2-2-1.html)
私たちができること 基本的な感染対策をしましょう
(https://amr.ncgm.go.jp/general/1-6-3.html)
内閣感染症危機管理統括庁
薬剤耐性(AMR)対策推進月間
(https://www.cas.go.jp/jp/caicm/topics/20231101.html)
減らそう!薬剤耐性
(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/infection/activities/231030_AMR_A5.pdf)
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