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疥癬(かいせん)-激しいかゆみを伴う皮膚の病気-

【症状】
かゆみ , 皮膚の炎症・水ぶくれ
【季節】
春, 夏, 秋, 冬
【感染症名】
疥癬
疥癬(かいせん)-激しいかゆみを伴う皮膚の病気-

高齢者施設などで入所者や職員も含めてかゆみを訴える方が増えたときは疥癬の集団発生が起こっているかもしれません。新型コロナウイルスが流行してから消毒の回数が増えましたが、疥癬はヒゼンダニというダニが原因で、アルコール手指消毒では効果が期待できません。今回は疥癬についてご紹介します。

疥癬とは

疥癬の歴史は古く、ナポレオンのフランス軍は、疥癬の流行で戦意を喪失したと言われています。日本では、性感染症として流行しましたが、近年は高齢者施設や高齢者の多い病院での施設内感染があります。
疥癬は、激しいかゆみを伴う皮膚の病気で、ヒゼンダニという小さなダニがヒトの皮膚に寄生して起こります。
疥癬には、通常疥癬と角化型疥癬の2つのタイプがあります。通常疥癬で寄生するヒゼンダニの数は数十匹以下ですが、角化型疥癬では100万~200万匹に達し、感染力が強くなります。高齢者施設などでの流行は角化型疥癬が感染源であることが多いとされています。

ヒゼンダニ

ヒゼンダニは非常に小さいので肉眼ではほとんど見ることはできませんが、虫眼鏡で見ることができます。約2週間で卵→幼虫→若虫→成虫となります。幼虫、若虫、雄成虫は人の皮膚表面を歩き回るため、 皮膚同士の接触によって感染します。また、皮膚内に掘った穴や毛包内に隠れていたりするため、ダニの寄生部位を特定するのは難しいです。皮膚表面を歩き回っているオスはメスを探し、交尾します。交尾後のメスの成虫は、手首や手のひら、指の間、ひじ、わきの下など疥癬トンネルと呼ばれる横穴を掘り進みながら、4〜6週間にわたって1日2〜3個ずつ産卵し続けます。卵は3〜 4日でかえって、幼虫はトンネルを出てはいまわります。
ヒゼンダニは一生人に寄生し、ヒトの体温が生活に最もに適しており、人の肌から離れた場合、長くは生きられません。また、高熱や乾燥に弱く、50℃以上の環境に10分以上さらされると死ぬことがわかっています。

疥癬とは?(国立感染症研究所)https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/rabies/392-encyclopedia/380-itch-intro.htmlを編集して作成

感染経路

感染経路は接触感染で直接接触と間接接触があります。
家族、介護者、セックスパートナーの他、ダンスの相手や同じこたつに入った場合、また、畳での雑魚寝など長い間、肌と肌が直接触れることで感染します。少しの時間ではほとんど感染しません。まれに患者さんが使用した寝具、衣類などを交換せずにすぐに他の人が使用して間接的に触れて感染することもあります。
なお、角化型疥癬は感染力が強く、注意が必要です。

疥癬とは?(国立感染症研究所)https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/rabies/392-encyclopedia/380-itch-intro.htmlを編集して作成

症状と治療

感染してから症状が出るまでの潜伏期間は1~2か月です。角化型疥癬の患者から感染を受けた場合には、ダニの数が多いので、潜伏期間も4〜5日と非常に短くなります。
通常、疥癬の症状は、腹部、胸部、大腿内側等に紅斑性の丘疹(皮膚がぷつぷつになる、皮膚が小さく盛り上がった状態)、手首、手のひら、指の間などに生じる線上の皮疹(疥癬トンネル)、陰部、臀部などに結節(しこり)、鱗屑※を生じます。また、夜間に激しいかゆみを伴います。このかゆみはヒゼンダニに対するアレルギー反応です。
角化型疥癬は、抵抗力が低下している場合に発症する重症型で、皮膚が垢のように分厚くなります。角化型疥癬はかゆみが出ないこともあります。
なお、ヒゼンダニの虫体や卵を検出することで診断されます。
治療は、ヒゼンダニを殺すことを目的とした塗り薬や飲み薬が使用されます。

※鱗屑:皮膚の角質がフケやうろこのように剥がれてくるもの

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『高齢者施設でのポイント』

★入所時の対応
疥癬の感染が認められる場合には、原則として、入所前に治療を済ませてもらうようにします。

★日常の観察
早期発見が大切です。高齢者は疥癬に限らず皮脂が欠乏していたり、アレルギーが起こったりする場合もありますが、疥癬の症状が出ていないか確認することが必要です。入所して間もない高齢者は特に注意して確認しましょう。そして、疥癬が疑われる場合は速やかに皮膚科を受診しましょう。

★発生時の対応

疥癬の場合は、施設内集団発生することがあり、対策が必要です。早期の治療を開始するとともに、接触する職員、入所者への感染に注意します。
・職員は、手袋、使い捨てのガウンを着用します。患者と接した後はきれいに手を洗いましょう。疥癬は虫のため、アルコール手指消毒薬※では効果が期待できません。
患者を清潔にすることが大切です。衣類やシーツはこまめに交換しましょう。また、入浴はできるだけ毎日行いましょう。
・使用したリネンはビニール袋に入れ、しっかりと口を閉めて洗濯に出しましょう。
部屋は通常の清掃で問題ありませんが、落屑(患者から剥がれ落ちた鱗屑)にも多数のヒゼンダニがいるので掃除機などできれいに掃除しましょう。
角化型疥癬の場合は、特に感染力が強いため、個室を用意しましょう。

※アルコール手指消毒薬:アルコールの速乾性擦式手指消毒薬

高齢者施設における感染対策マニュアル改訂版

http://www.mhlw.go.jp/content/000500646.pdf


関連情報

国立感染症研究所「疥癬とは?」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/rabies/392-encyclopedia/380-itch-intro.html

日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 疥癬」
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa6/index.html

厚生労働省「高齢者施設における感染対策マニュアル改訂版」
https://www.mhlw.go.jp/content/000500646.pdf

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